この前の日曜日にまた、文の里商店街にあるみつばち古書部に行った。
店内の両側には104個の区切られた棚が並んでいて、それを棚単位で貸し出している。
その小さな棚の中で、借りた人が自由に本を置いて書店の店主になれるというシステムの古書店だ。
棚の中にはそれぞれ個性がある選書が並べられていて、楽しいしなんか刺激になる。
そういったことはだいたい、行ったことがあったし以前から知っていたんだけど、「きっとやっているのはちゃんとした人ばっかりなんだろうから自分が出品するとか無理だろうな」とか勝手に思っていた。
でもこの前いきなり、やっぱり出店したい! と思ったのだった。
最近心身の調子が良くなってきて謎の勇気が湧いてきてる勢いで店に何度か行ってリサーチして、そのあと思いの丈をしたためたメールを送り、5月からの出店を快諾してもらったのだった。
本屋や古本屋をするっていうのは自分の夢のようなものだったので(本好きなら誰しも考えたことがあると思う)、ミニマムとはいえ実際に叶うなんてちょっと信じられないような気持ちだ。
「ウサヤマブックス」の実店舗が誕生するなんて。
こんなに小さいっていうのも逆にやりやすいじゃないか、と思いつつ、棚の内寸が376mm×376mmですと聞いても全然イメージがつかない。
ただ本を棚に並べて値札をつけるだけで出品はできるのだけど、そこは無駄に凝り性な方なのでどうしよう、どんなふうにしよう……とか考えていて、そうか、実際にまた見に行けばいい、と思った。
あと、棚1個あたり月に1回、希望するなら店番をすることができる制度があった。
店番しているときには自分以外の棚の本が安く買えたり、その日に売れた全ての棚の売上の一部が店番代として入ってくるというようになっていた。
主宰の方からも、「店番を希望する場合は事前に面談を行うことにしています」と言われていたので、じゃあどっちみち行かなくちゃだな、と思って行った。
文の里商店街というのはありていに言うと、シャッター商店街になりかけているような場所だ。
ただ、天王寺や阿倍野からそう離れていないのにしっとりとした落ち着きがあって(単に活気が無いと言えるのかもしれないけど)、そんなに嫌いな場所じゃない。
そんな半分くらいは閉まっている商店街の中に、ちょっとおしゃれな洋菓子店や絵本カフェや食堂なんかができていて、そういった新しいお店のひとつとして「みつばち古書部」はあるという感じだった。
(居留守文庫)
まずはみつばち古書部の店内に入り、欲しい本を物色して買ったあと、店番の方に5月から出店することを告げて、店内外の写真を撮らせてもらった。告知用と、自分の棚のレイアウトの参考にしようと思ってあちこちをスマホに収める。
そのあと、商店街を抜けて阪神高速をくぐって高校の裏手あたりにある古書店「居留守文庫」に行く。
そこで「みつばち古書部」や同じようなコンセプトの「書肆七味」などを主宰している岸さんと初めて会い、話を聞いた。店番というのはなにをどうやったらいいのか、棚の位置はどう決まるのかなど、気になることを色々と聞き、教えてもらった。
店番については、「そんなに忙しい店でもないので……」ということで、研修無しで一発本番ということでちょっと心配になるも、最初の日は開店作業を教えてくれるということだった。
家に帰ってから、パスワードも忘れていたウサヤマブックスのTwitterアカウントから出店の告知をした。とはいってもフォロワーもほとんどいないのでほぼ意味のないことなので、自分のアカウントからもリツートして、いくつか反応ももらえた。
メンタルも改善しつつあるのでそろそろ休職期間も終わる。それまでにこういった新しい楽しそうなことの取っ掛かりを作れてよかったなあと思う。
心身共に大変なときには棚はそのままにしておけばいいし、やりたければいくらでも楽しいことはやりようがあるという、そんなことだと思うので、これからなにか寂しい気持ちになったとしても、その支えの一つにはなるんじゃないかとかも、思ったりするのだった。
当面やることは、棚にどんな本を並べるか、という検討だ。
自分の蔵書から見繕い始めているけども、できたらもう1つ棚を借りて、それを橋本治だけの棚にしたいとかも思っている。
橋本治ファンの多くは、書店や古本屋でいつも橋本治の本を探している。
書店でも、街の古本屋でもブックオフでも。そうしてやっと見つかったと思ったら橋本紡でがっかりする(橋本紡が悪いわけではありません)。そんなことを長年繰り返してきた人間にとって、橋本治の本ばっかり並んでる古本屋なんて、夢のようじゃないか、と思ったりする。いいなあ、でも売りたくないなあ、と思いながら今も悩んでいる。
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