'17文学フリマ大阪 購入本レビュー5 <キャンプのはなし/野営好太郎>

キャンプのはなし/野営好太郎
一人でキャンプ場でテントを張り、火をおこして飯を作り、野営を楽しむという、ソロキャンプの世界へといざなう一冊。
表紙にいらすとやのイラストを使っていたり、本文には図版もないというシンプルな作りなのに、内容が面白いので読んでいてうれしくなる本。
まず、キャンプなんてリア充の遊びだろ、と思っているくちの自分でも、単独でキャンプをする、という行為と聞くと他人事じゃない。
微に入り細に入りといった感じではないけれど、あ、これ自分でもできるな、やってみようかな、と思わせるような部分を、本文では上手いこと掬っていくのだ。
実際にはテントや道具を買ったり、やり方を知ったりマナーや慣れもいるだろうと思う。でも、全体から読み取れるのは、まあとにかくやってみたらいいんじゃない、っていうスタンスだ。
一番楽しいだろうと思える焚き火とご飯について中心的に書かれてあって、うわあ楽しそう(しかも一人なのがいい)、やってみたい、って思わせるのが目的だったとしたら、まさに大成功だ。
なかなか面白いのは、夏のキャンプは推奨しない、と書かれていたり、キャンプと言えばあれだろう、というあの定番料理については、作ることを奨めない、と書いてあるところだ。
そんなに難しい理由ではないんだけど、知らなかったら絶対にやっているだろう失敗に裏付けられたアドバイスで、ははー、なるほどなあ、と思った。
作者のブログからでもこの冊子は読めるので、ぜひ実際に読んでほしい。

あと、全体的にシンプルなレイアウトだと最初に言ったけれど、一方で本文は端正に組まれていて読みやすい。
これはワープロソフトではなく、LaTeXというマークアップ言語(システム)を使っているからということもあるんだと思う。
説明するとすごく長くなるのでしないけど、文書全体で統一された論理的なレイアウトができるという手法で、ちょっと面倒くさいのだけど、勝手に自動処理ばかりしてきてイライラさせられるWordなんかと違って、レイアウトを完全に自分でコントロールできることは結構な魅力だと思うし、そういった意味でも参考になった一冊だった。 
(シリーズ続く)

作者サイト:ひとりあそび

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