うさぎ式読書日記220921

夜8時くらいに帰ってきて、ベッドに横になってすぐ寝てしまった。

電気を消してちゃんと寝たわけではないので明晰な夢を見ながら半ばうなされながら寝ていて、起きたら真夜中の3時だった。

トイレに行っていると主人が起きたことを察した猫の呼ぶ声がする。おきたんならこっちきてかまいなさいよ、という感じに聞こえる。

朝まで寝てしまおうかと思ってもそれもできず、スマホの通知を見たりTwitterをひと通り見たりする。

なんとなくうっすらと、さみしさというかかなしさというか、そんな感じになってくる。

それから過去のことを色々と思い出して、自分はそういったことを思い出すことで懐かしんでいるのかもしれないと思うとまたかなしい気持ちになる。

人間はいつか死ぬのだから誹られてもしたいことをするべきなんじゃないかと思った直後にどうすればいいのかがわからなくなる。

やらなくてはいけないことばかりがあり、そのどれもやらなくたっていいようなものにも思える。

台風が過ぎて突然空気が秋になって、きっとだからこんな感じなんだろうなと思ったりする。

そんなことをずっと考えていると、もしかしたら積極的に今の気持ちを解消したいとも思っていないのかもしれないと思う。


先週の木曜日に「イシデ電×志村貴子トーク〜『ポッケの旅支度』刊行記念〜」というイベントに行ってきた。

漫画家のイシデ電がTwitterで公開した飼い猫の闘病と死を描いた漫画「ポッケの旅支度」がKADOKAWAから発売になって、そのことを記念したイベントだった。

ビルにあるイベントスペースに30人ちょっとくらいの人が集まっていて、少なくもなく多くもなく適度な雰囲気があった。

トークはコミックビーム副編集長の青木氏が進行役で、単行本「ポッケの旅支度」の各ページをスクリーンに映しながら漫画の流れに沿ってイシデ電と志村貴子に話を聞いていくという形だった。

トークの中にはそこまでびっくりするような裏話はなくて(本がビーム編集部から出ることになったいきさつについては結構裏話で面白かったんだけど)、大きな流れとしてはそうそう、と漫画の内容を参加者で改めて噛み締め合うみたいな感じだった。でもそれは今考えてみれば、起こった一連のことをニュアンスも含めてかなりの部分、漫画に乗せていくことに成功していたんだろうなあと思ったのだった。

自分もそうなのだけど、猫を飼っている人間は猫かわいがりなんだと思う。

そういったことに少し引け目を感じながらも、とても長い時間を一緒に過ごす猫を特別な存在だと思っているのも本当のことだ。

そのことに加えて生けるものを自分の責任で飼っているということでもあるし、という狭間の中で暮らしている「考える猫飼い」といったものを、葛藤も含めてここまで言語化(漫画化)している人はそれでもそんなにいないんじゃないかなあと思ったりした。

さらにこの「ポッケの旅支度」は、イシデ電自身が「私という猫」で描いた野良猫の容赦ない生死の描写がそのまま引き継がれていたところもすごいし、そのことはなんというか猫に対するひとつの誠意みたいなものじゃないかなあと思った。そういった話もいつか聞けたらいいなと思ったりした。

イベント終了後にはサイン会があって、サインをしてもらう間に少しだけ話ができた。なぜかわからないけれど自分の猫をずっと自慢してしまうという感じになってしまって、あとから反省したり。

志村貴子さんには初めて会うことができたのだけど(大阪で個展があったときにはサイン会の抽選に外れた)、あんなにしっとりとした漫画を描く人なのに、とても自然な佇まいだったので少し驚いた。

多少やさぐれキャラのようなイシデ電さんとの掛け合いを聞いていても、拝聴するといった緊張する感じじゃなくて、たまにインスタライブで聞いている雰囲気そのままで、とてもいいなあと思った。

会場は大阪北エリアにおける歌舞伎町みたいな場所にあるイベントスペースだったのだけど、サイン会が夜8時過ぎまであって、これからどこにも寄らずに新幹線で東京に帰るのだという話をしていた。小粋な店があるような場所ではないにせよ、ちょっと勿体ないような気はした。

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イベントが終わって会場を出たあと、そういった小粋とは程遠い場所を少し歩いた。

なんというかきれいな高ぶりのような気持ちになっていて、そういった感じを一旦冷ましたいなあと思って、目に入ったアダルトショップに入った。

成年向け漫画の新刊でも見ようと思ったのだけど、5階まであるビルなのに本は置いていなかった。

何気なく店内を階段を使って上がりながら店内を見る。DVDがひしめく階を通りつつ、一番上の階にはコスチュームやグッズがあった。

こんなのもあるのか、とか思って見ていたらにぎやかな声が聞こえてきて、20代後半くらいの女性2人が楽しそうにグッズを選んでいた。「えーでもセンパイはどうなんですかー?」とか話していた。

なんか自然な感じでいいなとか思いながら、そろそろ出ようと思って1階に降りた。

1階にもちょっと面白そうなグッズが置いてあったので、こんなことになってるのか、と思いながら見たり触ったりしていたら、さっきの2人組が降りてきていた。

いつの間にか手にカゴを持っていて、グッズを見て笑ったりするために来たというよりは、やっぱり普通に買い物をしているんだなと思った。

冷やかしているのはこっちの方だったということで、結局なにも買わずに店を出た。

もう少し商店街を歩いて、結局一蘭でラーメンを食べただけで商店街を抜け出て、大きな病院や公園のある方に歩いた。

どこもそうかもしれないけれど、繁華街を少し離れただけで暗くて静かな路上になる。

それでもこのあたりは昔にすごく好きだった人に会うために何度も通った場所だったので、なにも考えないわけでもなかった。

外はまだ蒸し暑かったけれど、季節が変わっていく気配もあるような空気だなとか思いながら、駐車場まで歩いた。

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