5日は通常勤務での仕事始めだった。
体調が悪かった(悪い)こともあったのか、年末からなんか気持ちが落ち着かないというか、苛々するというか、そういった気持ちがずっと続いていた。
ふと考え事をするときには悪い想像が暴走して、そのせいで勝手に落ち込んだ気持ちになってしまうなど、明らかに自分にとってメンタルが悪いときの兆候が出ていた。
なので、仕事はやることがたくさんあることはわかっているけれど、なかなか自分では整理をつけられないといった感じで、そのあたりにあることから手当たり次第にやっていった。
仕事帰りに髪を切りに行こうと思って順番を待っていたら友人から電話がある。
ご飯でも食べに行こう、ということになって、髪を切ったあとに前混んでいて行けなかったお好み焼き屋で待ち合わせた。
お好み焼きの上に溶かした大量のチーズをかけたものとかを食べながら、お弁当のおかずに何を入れてるのかという話とか、仕事の話なんかをしたりする。
帰り際に何故か、「そういや『バグダット・カフェ』って、最後までちゃんと観た記憶ないよね」という話になり、今年前半の目標にしようよと言い合いながら別れた。
あとで当然どこかのサブスクでやってるんだろうと思って検索したらどこにもなくて、どうやらDVDを買うしかないということがわかった。
帰ってから薄場圭の「スーパースターを唄って。」2巻を読む。
この巻も雪人と桜子の過去が少しずつ、ある意味淡々と描かれていき、それが却って胸に刺さる。この絶望に満ちた世界の中で、OK 余裕、って言いながらでも生きていかなくちゃいけないのはなぜなんだろう。その先をどこまでこの漫画が描くことができるのかが気になって仕方がない。
6日の土曜日も仕事で、なんかまだ疲れが残っていて、弁当を作らずに駅前のコンビニで買って賄うことにした。
いつもより人の少ない職場で仕事をしていたけれど、なんか浮ついた落ち着かなさを押さえつけるように仕事をしていた。
自分の机のある部屋は複数の部署の人間が同居していて、話している声とかが遠慮なく聞こえてきて、「あのオカマの人、やっぱりなんかおかしかったわ」「なんか格好が変やったもん」とかいう会話が聞こえてきた。
自分がそういった側じゃないとしても聞いてて辛い、と思って、いや自分はそういった側かもしれない、と思ったり、よくわからない、すぐにわかりやすい言葉にはできないんだけどすごく嫌だ、と思って、なにかとても動機がしてきた。
そういったことを話している違う部署の人達は、「もっと男らしくせえや!」と部屋の中で叫んだり、入ってきた新人に「仕事っていうのは盗んで覚えるもんですよ」と言って教えなかったり理不尽な要求をしてそれができていなかったら詰ったりして結局その人を辞めさせた、というような人達だった。
まあ言いそうではあったし、まあオカマがどうとか、普通に仕事をしていたらどこかでネタにされるのが普通の日常で、それを見聞きすることもままある。この時代になったって自分達以上の昭和世代が多く残っている職場なんて、結局はそういうもんだ。
そして、そもそもメンタルが悪いということがあったからなのかもしれないけれど、なんだかとても辛くて、自席に座っているのも嫌になってくるのだった。
こういう時、本当にどうしていいのかわからない。
他人の権利に関してはその対象がどれだけ面倒な人間でも戦うことができると思う。でも、自分のこととなると色々と考えて矮小化しようとしてしまう。
自分に対して直接言われたわけじゃないし、とか、「うさ山さんになにか関係でもあるんですか?」とか聞かれたらなんて言ったらいいんだろう、とか、これは社内の風土の問題だから、個別の問題というよりは教育体制を充実させていくという方面から変えていくしかないのかもしれない、とか。
ただあるのは差別的な言葉を聞いて傷ついたという事実だけなのに、なんで自分だけがここまで悩み考えないといけないのか、と思うとそれも辛かった。そんな言葉を発した人間達は変わらず笑いながら仕事をしている。
本当に帰ろうと思ったけれど、なにかと仕事的にタイミングの悪いこともあって、結局は我慢して定時まで職場にいた。
この時だけじゃなく、去年からずっと思っているんだけど、自分の世代に課せられた仕事の一つは、もしかしたらもう修正すら不可能なのかもしれない昭和の差別的な価値観の人間に抱きついたまま、世代ごと心中することなのかもしれないって思ってる。
自分が生き残らなくってもいいから、ただこの価値観ごとこの世代を絶滅させたほうが早いんじゃないかとか、そんなことをずっと思っている。
もうさ、それが一番手っ取り早いよね? って。
ただ、この日に起こったことはそれとは別で、自分がこれからも生きていくために戦わなくちゃいけないことだってことは、思っている。
そんなことを帰り道からバスの中から、帰ってきた家の中ででもずっと考えていて、本当にちょっと駄目だなあとか、いや駄目なのは自分じゃないよ、とかまだまだ考え続けるんだった。
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