うさぎ式読書日記220612

ここ一週間は心理的にかなり酷くて、一昨日の金曜日にはもう本当にまずいと思うくらいだった。

その金曜日には、なにかいいことでも起こらないと結構危険だなと思ったので、思い立って仕事終わりに大阪の丸善ジュンク堂書店に行った。


買おうと思って買えていなかった漫画を全部買おうと思って、カゴを持って漫画コーナーに行き、

・九龍ジェネリックロマンス(7) 眉月じゅん

・夜の大人、朝の子ども 今日マチ子

・わたしたちは無痛恋愛がしたい(1) 瀧波ユカリ

・ブスなんで言わないで(1) とあるアラ子

・イベリスの花嫁(1) 秋山はる

・初恋の世界(11) 西炯子

・僕らが恋をしたのは(1) オノ・ナツメ

・花四段といっしょ(1) 増村十七

を買う。予算のことを考えずにカゴに本を放り込んでいくのは楽しいなと思った。

それでもあとから全然買い逸れていたということがわかったのだけど。

それから帰りに河童ラーメンまで食べて帰ってきた。


この日の夕方までの時点では、かなりメンタルが悪い状態だった。

主治医の指示で出勤日数を減らして働いているのに仕事量は全く同じなので毎日追い詰められた状態になっていて、そのうえ自分からしたら謂れのないようなことを上司に話されてどうやらそれがもっと上層部の命令なんだという。

ここ1ヶ月以上、産業医と面談して業務量の低減などを訴えていて、産業医は上層部にそのことを伝えてくれているのだという。うさ山さんに残業させないように、という指示もしてくれていたのだという。

でもそれが、全く直属の上司には伝わっていないことがわかった。どこかで握りつぶされているらしいのだった。

なんの意味もないことだとわかりながら、帰り際にそのことを問い詰める社内メールを上層部に送った。嫌だもう嫌だと思いながら。

その日職場を離れる直前にはほんのりとした希死念慮まで浮かんでくる始末で、こんなこと主治医に伝えたら即再休職だなと一人の部屋でちょっと笑った。


職場から家に帰らず、車で片道50分くらいかかる本屋に行って、また運転して帰ってきた、としてるうちに(ラーメンは正直そこまでおいしいと感じなかったけど)心がちょっと落ち着いてきた。晴れてきた、とまでは言えないけどもさ。

ダイエットのために食べるものを気にしていたり、まだ休職明けで給料が少ないからと節約していたりするけど、まあ死ぬよりはましだもんな、と思うようにした。

まあでもそんな切羽詰まったものでは全然ないので。

夜にUと電話したときにも心配されて、大丈夫、そんなことはないからと言う。

本当に大丈夫だと思う。自分もそんなに馬鹿じゃないので。


昨日は朝からずっと寝ていた。朝方、二度寝したときに夢を見て、同僚にふざけて首を脇固めされる夢を見た。

それでも布団を出られず、昨日送りつけたメールのことを考えたりしながらうなされてずっとベッドの中にいる。

昼前にやっと起き出すことに成功して、なにが食べたいのかよくわからないので袋麺を作って食べた。

それから前日に買った漫画にやっと手を付けた。


前日にネットで(Twitterで見かけたことをどうして『ネットで見た』みたいに言い換えてしまうんだろう)秋山はる先生の新刊が出たということを初めて知って、今すぐに買わなくちゃいけないやつだ、と思ったこともわざわざジュンク堂に行った理由だった(こと新刊漫画にあっては関西最強の書店だ)。

秋山はる先生の8年振りの新刊「イベリスの花嫁」1巻は社会人の恋愛を描いた漫画なのだけど、これまでの作品群が思い起こされるような美麗なカラーと、緊張感のある物語のなか、自らも結婚を前にしたウエディングプランナーの女性美月が、衝動的にある女性と恋に落ちてしまうところまでが描かれる。

社会人版「オクターヴ」なのだろうかと期待して読んでいたんだけど、今回はもっともっと複雑だ。

主人公美月が好きになる女性七海はポリアモリーだ。そういった言葉は出てこないけれど、実際にその関係に理解のある男性2人とそれぞれ交際していることなどから明らかで、正直読んでいて驚きを隠せなかった。

ファンとしては、戻ってきた秋山はるが恋愛どころかこんなテーマを描きだそうとしてるだなんて信じられない……と震える一方で、大丈夫かな、これからどうなっていくんだろう、という不安もある。

ただ、あの「オクターヴ」だって、物語がどう描かれていくか1巻を読んだだけじゃわからなかったじゃないか、と思う。

僕はあの漫画のことを、その不十分さも含めて滅多に起こらない奇跡のひとつだと思っていて、8年振りに戻ってきた作者のこの作品の単行本を手にしたときに、もう一度それが起こりつつあるような気までしてしまったのだ。

それは少し欲目が過ぎるってものだろうか。

とか、まあとにかくとても良かったのだった。


それで少し元気が出たので、雨が降っていたけど靱公園横のブックギャラリーで開催されていた北澤平祐の個展を見に行く。

絵本、文庫本の表紙、ファミリーレストランのメニュー、キャラメルゴーストハウスで使われたもの、テキスタイルデザインなど、一様じゃない仕事が展示されていてすごくかわいくて面白かった。

一番良かったのは自らの作品集の表紙になった横長のイラストで、画面全体にこれまで描いたキャラクターなどが敷き詰められた、テキスタイルのような陶器の柄のような、そんなイラストが本当に素敵だなと思った(写真では全く伝わらないけど)。


その帰りに靱公園の中に入って、バラがまだ残っていたので傘を差しながら見て回る。ウルフって名前の付いている白いバラがきれいだった。

人工の小川のほとりをぼんやり歩く。こういった場所が政治家の利権に荒らされるようなことがなければいいのにと思った。

せっかく来たんだからカフェか、前に行ったことのある角の台湾料理の店にでも寄って帰ろうかとも思ったけど、なんとなく気持ちが乗らなかったのでやめて、地元に戻ってきた。


帰ってきた夜に、同僚のNさんからLINEが来た。

金曜に職場で送ったメールの内容を、バックアップのために信頼できる人に送っておこうと思って、Nさんに送っていたのだったけど、それを読んでくれたとのことだった。

同じ課のNさん自身も業務が過多になっていて、そんなことも全く顧られずに業務を上層部に押し付けられ、かつてメンタル疾患を発症したときと同じような心身が厳しい状況になっていて休職も考えている、ということだった。

自分に言えたことじゃないな、と思いながら、危ないと思ったら休んだ方がいいと思いますよ、と返信した。

やり取りの中で、どうしたら今の状況を変えることができるのかについても話をした。けれど、もし自分を苦しめているもの自体が修正し難い(どうしようもない)ものだったとしたらどうなるんだろう、と思った。

自分が生き残るためには、それを斃すか新しい生き場所を見つけるしかないんだろうなあと思ったりした。

「ネット」で目にしたことがある、生きることそのものが抵抗だ、って言葉を思い出す。高島鈴が言っていたような気もしたけど見つけられなかった。


今日は午後2時くらいまでベッドの中に籠もっていて、猫がかまってほしそうに布団の上に乗ってはまた離れていったりしていた。

起き出して、米を炊くのも面倒だったので非常食のカロリーメイトを齧り、炭酸水を飲んでなんとか目を覚ます。

昨日よりは微妙にましかもしれない、と思った。

休職するまで鬱は朝が一番辛いということも知らなかった。

それから着替えて外に出て、郵便局に行き、それから家の近くにできたコメダ珈琲に来た。

ナポリタンを食べて、それからこの日記を書き始めた。

書いているうちに少しずつ心が回復してきている感じがあった。少し未来に対して楽観的になってきたというか。

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