亡くなった母が残した遺言。
そこにはロンドンに行き、友人に私の死を伝えてほしいと書かれてあった。
英語も話せない、海外にも行ったことがない大空は、その手紙だけを頼りに飛行機に乗った。
この漫画は、母の手紙に導かれた主人公が、イギリス、フランス、イタリアの街街を巡りながら、バラバラに生きる兄、父の現在、そして母の過去に触れていく話だ。
ページを開いて読み始めるとすぐ、これが開かれて、風通しのいい漫画だってことが分かる。
見知らぬ国で、見知らぬ街並みを歩き、見知らぬ人の家に泊まり、初めての言葉を交わす。
それは母が、自分らしく生きてきた軌跡をたどる旅だ。
主人公は戸惑いながら旅をして、人間はどこで、どんなふうに生きたっていいっていう、そんな簡単で、大事なことに気付かされる。
そして、最後に大空の旅は家族にたどり着くのだ。
世界はもっと優しさに溢れているのかもしれないってことも、家族っていったいどんなものなんだろうってことも、そんなことは本当はもっと、こんな広さで語られるべきなのかもしれない。
「ニッポンスゴイ」や「新しい家族の形」なんかに疲れた人に読んでほしい、爽快な一作。(う)
グッドナイト、アイラブユー(全4巻)(KADOKAWA/it COMICS) / たらちねジョン
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